脳はすごい/クラーク・エリオット 著/脳の障害に見舞われたAI研究者が経験した脳のすごさ

今回は、「脳はすごい」という本を紹介。

本のタイトルだけ聞くと、脳の情報について書かれたよくあるもののようですが、この本は違います。

アメリカの人工知能研究者である著者が脳の障害になり、その苦痛から解放されるまでを描いたものなんです。

脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-

クラーク・エリオット 青土社 2015-09-25
売り上げランキング : 168375

by ヨメレバ

脳震盪症の苦痛

著者はアメリカの大学で人工知能を研究していましたが、ある日乗っていた車が別の車に追突された衝撃で、脳震盪症という障害になってしまいます。

この症状が過酷なんです。

自分で話すことはできても、人の話を聞くのにものすごい努力が必要だったり、認知リソースの容量が極端に少なくなり、いったんそれを使い切ってしまうと何時間も動けなくなったり。

認知リソースにも3種類あって、以下のようなことは普段何となく感じているところで納得でした。

  • 普通の人は同時起動ができる
  • 著者の場合はひとつを使い切ってからしか次にいけない
  • 2番目、3番目と行くに従って回復に時間がかかる

認知リソースを使い果たして動けないところは苦痛としか表現できませんが、その状態でもできることとできないことの差がものすごくあります。

脳がたくさんのモジュールに分かれて情報処理をしているということなのでしょう。

奇跡の回復

この障害が10年近く続いたあと、著者に奇跡が起きます。

偶然出会った認知再構築の専門家により、この障害が視覚の神経伝達がうまくいっていないために起こっていることが分かりました。

通常の生活では、この障害された経路に視覚信号を送っているので、その後の伝達がうまくいかなかったのです。

著者が出会った治療法では、特殊なメガネをかけ、目に入る光の角度、波長、光量を調節することによって、この障害された経路を避けて信号を入力することにより、生き残った経路を活性化させて回復をはかります。

その効果は劇的。

何年も悪化し続けていた障害が、数週間でかなり改善します。

面白いのが、この改善によって著者の性格にも影響が出てくるところ。

性格も感覚入力によってコントロールされているところがあるんですね。

まとめ

闘病記というジャンルになるのかもしれませんが、人工知能研究者だけあって、脳の情報処理の意外な仕組みが分かってしまいます。

気になった人はぜひ読んでみてください。

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